2016年1月30日土曜日

公的年金「マクロスライド」、16年度は発動できず据え置き 厚労省

 厚生労働省は29日、少子高齢化の進展に合わせた年金減額を2016年度は実施しないことを決めた。

消費者物価の上昇率が鈍り、賃金も減少したので発動要件を満たさなかった。

 厚労省は物価上昇率などを踏まえ、16年度の年金支給額が厚生年金を受け取る夫婦2人のモデル世帯で月22万1504円になると発表した。自営業者らの国民年金は満額支給の場合で6万5008円で変わらない。
 高齢者の増加で年金支給の総額は増え続け、これを支える現役世代の保険料負担は年々重くなる。政府はこうした少子高齢化の痛みを年金世代にも分かち合ってもらう目的で04年の年金制度改革で「マクロ経済スライド」と呼ぶ年金支給抑制の仕組みを導入した。
 ただこの制度には物価が下落していたり、上昇率が鈍かったりする場合は発動しない要件がある。16年度はこの条件をクリアできなかった。
 デフレの影響でマクロスライドの発動はこれまで15年度だけだ。見送りが続くと年金財政に響き、将来の年金水準が想定を下回る懸念がある。
 政府は今年、所得の低い年金生活者を対象に1人3万円の臨時給付金を配る計画だ。「消費のテコ入れ」が名目だが、このままだと世代間の負担と給付の格差は一段と広がりかねない。
 厚労省はマクロスライドが発動できなかった場合に翌年度以降に持ち越して減額する法改正を検討しているが、発動要件を緩める改革を急ぐ必要がある。

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