2014年6月30日月曜日

年金、将来は現役世代の40%台まで低下 世代間格差鮮明に

 厚生労働省が6月27日まとめた試算によると、公的年金の水準について、1979年度生まれの現在35歳の夫婦の給付水準は、受給を始める65歳(2044年度)時点では50.6%あるものの、受給期間が長くなるほど低下し、85歳以降は40.4%まで下がることが分かりました。

どの世代でも受給開始時は50〜60%台の水準ですが、90歳前後になると41.8〜40.4%まで低下します。
今年度65歳になる人が現役収入の6割強の支給を受けるのに対し、若い世代ほど、所得代替率が下がるのも早い傾向がみられます。今回の試算で世代間格差が顕著となりました。
 今回の試算はいずれも、将来の実質賃金上昇率が1.3%で推移することとし、2015年度から2043年度までは、マクロ経済スライドの適用を前提としています。
この間の年金の伸びは物価上昇率よりも低く抑えられ、現役の賃金との開きはさらに大きくなります。

 政府はモデル世帯(平均手取り月額34万8000円の会社員の夫と専業主婦の妻、夫婦は同じ年齢)の夫婦2人分の年金給付水準について、「50%を維持する」と法律に明記しています。
6月3日に公表した、5年に1度の財政検証結果でも、2015年度から2043年度まで労働人口の減少などに応じて毎年、年金を1%程度カットする仕組み(マクロ経済スライド)を導入し、2014年度の給付水準(62.7%)を徐々に下げていけば、2043年度以降は50.6%を維持できるとしていました。

2014年6月13日金曜日

諸外国の年金制度比較 厚生労働省

 厚生労働省は12日、諸外国の年金制度についての情報を公開しました。

ドイツ、英国、アメリカ、フランス、スウェーデンの5か国についての制度をそれぞれ紹介すると共に、日本を含めた上記5か国の制度の比較を表にまとめ、公開しています。
 年金の支給開始年齢について、フランスは2017年までに62歳に引き上げるのに対して、アメリカは2027年まで、ドイツは2029年までに67歳に引き上げるとしており、英国は2034年から2046年にかけて68歳に引き上げるとしているなど、各国の年金事情をうかがい知ることができます。
詳しくはこちら(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/shogaikoku.html
「上記5か国の年金制度の国際比較 ※平成26年6月作成」(PDF)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/pdf/shogaikoku-hikaku.pdf

2014年6月2日月曜日

遺族年金 国に23年分支払い命令、時効認めず 大阪地裁

 時効を理由に遺族年金を受け取れなかった女性が国を訴えていた裁判で、大阪地裁は国に23年分の年金およそ2,200万円を支給するよう命じました。

 年金記録問題をきっかけに、夫の死後28年経って見つかった記録を基に遺族年金の支払いを求めていました。
 大阪地方裁判所は、女性は10回ほど問い合わせや相談をしていたのに、担当者は、そのつど記録は見当たらないと回答し、社会保険事務所の組織全体が繰り返し不適切な取り扱いをしていた。と指摘しました。
判決について厚生労働省年金局事業管理課は、「判決の内容を精査して、関係省庁と協議のうえ、適切に対処したい」としています。

2014年6月1日日曜日

肝疾患による障害の認定基準改正(平成26年6月1日より)



障害年金の「肝疾患による障害」の障害認定基準の一部を改正します。

厚生労働省では、平成26年6月1日から、国民年金・厚生年金保険障害認定基準(以下「障害認定基準」)のうち「肝疾患による障害」の基準を改正します。

1. 経緯
障害年金については、障害認定基準により、障害の程度の認定を行っているところですが、障害認定基準のうち肝疾患による障害の基準について、近年の医学的知見を反映するため、平成25年8月から11月にかけて「障害年金の認定(肝疾患による障害)に関する専門家会合」を開催し、基準の見直し及び表現や例示の明確化について検討を行いました。
今般、その検討結果を踏まえて、平成26年6月1日から、障害認定基準のうち肝疾患による障害の基準を改正することとしました。

2. 改正の主なポイント
  1. 重症度を判断するための検査項目について見直しを行いました。
  2. 障害等級を客観的に判断するため、検査項目の異常の数を入れました。
  3. アルコール性肝硬変の基準を追加しました。
認定の対象となる障害は、以下のとおりです。
  • 慢性かつびまん性の肝疾患の結果生じた肝硬変症
  • 肝硬変症に付随する病態
    (食道・胃などの静脈瘤、特発性細菌性腹膜炎、肝がんを含む)
※慢性肝炎は、原則として認定の対象になりませんが、検査項目の異常の数などにより障害の状態に相当する場合は認定の対象となります。